<江幡塁>
――3月9日、後楽園ホールでブンラーイ・シットナーイガジョン選手とWKBAの世界タイトルマッチが行なわれることになりました。
「はい。心身ともに絶好調なので、試合がとても楽しみです。前回のタイトルマッチから半年間、試合間隔が空いていますので、早く試合がしたくて仕方がないです」
――前回の試合は、ムエタイの二大殿堂の一つであるラジャダムナンスタジアム認定のタイトルマッチ。ムエタイ500年の歴史を破るまで、あと一歩でしたね。
「小学4年生から空手を始めて、12・13歳でキックに転向して次が26戦目。それまでは、ほとんど負けなしで勝ち進んできたため、食事、調整、追い込み方、メンタル面など、これならば大丈夫と信じてきた固定概念がありました。でも前回の試合で負けを経験し、そうした固定概念がいい意味で崩れていったんです。取り組み方も以前より違いますし、新しい自分が見せられると思います」
――でも江幡選手は、いつも謙虚で練習の取り組み方も真摯でマジメだった印象があります。
「謙虚であり続ける姿勢は、これまでもこれからも変わりませんが、また一から作り直すいい機会になったということです。どうすれば良くなるのか、さらに会長の意見に全力で耳を傾けることができています。負けてから、心技体、すべてが良くなっているように思えるので不思議です。新潟支部の乙川会長にも、『よくなった』と言っていただきました」
――本当の意味で、初心に戻れたのかもしれませんね。江幡選手にとってキックボクシングとは、どんな存在ですか。
「成長期からキックボクシングをやっていますので、生活の一部ですね。ただ19・20歳でチャンピオンになった頃と、23歳になった今では周りに対する感謝の気持ちが違います。昔も感謝の気持ちを持っていましたけど、周りが見えるようになってきた今は、心の底からそういう気持ちが出てきています。あとは、キックボクシングとは自分を伝える場所、表現する場所ですね」

――親友の三浦春馬さんは、俳優として映画・ドラマなどを中心に活躍されています。いい刺激を受けているのではないですか?
「なっていますね。ジャンルは違いますが、ああやって友達が活躍するのは、いい刺激になるし、自分たちも負けられない気持ちになります。彼が演技で思いを伝えると同じように、自分たちはリングで気持ちを伝えていきたいと思っています」
――ますます期待が高まります。師匠の伊原会長は、どんな存在ですか。
「すべてを教えていただける尊敬する方です。キックだけではなく、ネクタイの結び方、食事、マナー、大人になってから学ぶ大切なことも含めて、つねに教えていただいています。会長は服装もオシャレでしっかりされているし、本当にカッコ良い方です。ある意味、お父さんでもあり、僕ら(双子の兄・睦も含めて)の兄のような存在でもありますね」
――そんな伊原会長が巻いていたベルトに挑戦するのはいかがでしょうか。
「感無量です。絶対に勝ってベルトを腰に巻きたいと思います」
――ちなみに伊原道場に所属していることについては、どう思われていますか。
「つねに看板を背負っているつもりで試合をしています。会長からは、キックの救世主になるようにと言われていますし、そのためには強さとパフォーマンス力を上げていかなければならないと思います」
――強さとパフォーマンス力ですか。
「強さとは、ムエタイのベルトを巻くことです。パフォーマンス力は、他団体には面白いチャンピオンとかがいますので、そういう選手と闘って格闘技界を盛り上げていきたいと思っています」
――気になる選手はいますか?
「具体的にはいませんが、バンタム級には選手が揃っていますので、誰と闘っても盛り上がる試合になるのではないしょうか」
――塁選手は、パンチ&ローキックでKOを量産しています。ファンが多いのは、そうしたスタイルにも理由があると思います。
「あまりKOを意識してしまうと力が入ってしまうので、自然の形で闘い、チャンスがあった時に勝負をかけるようにしています。勝って、なおかつKOで決まるのが理想ですね」
――最後にファンへのメッセージと3・9後楽園大会の抱負をお願いします。
「いつも応援をしていただき、ありがとうございます。こうしてファンのみなさんと交流ができるのは、とても嬉しく思います。3月9日は、負けを経験して一皮むけた新しい江幡塁を楽しみにしていてください。会場に来ていただければ、絶対に後悔をさせません。お友達と一緒に、キック観戦でストレスを吹き飛ばしてください!」